あったはずの遺産がない場合
- ○ 亡くなった父親・母親の預貯金が使い込まれていた
- ○ 同居の兄・姉が親の遺産を食いつぶしていた
- ○ 遺産を勝手に使われていた場合、取り戻せないのか?
親が亡くなったとき、あったはずの財産がなくなっているケースがあります。
預貯金が使い込まれるケースが典型ですが、ときには不動産が勝手に売られている事例なども存在します。
あったはずの遺産がない場合、取り戻すにはどうしたらよいのでしょうか。
今回は遺産相続時に「あったはずの遺産がなくなっていた」場合の対処方法を、山口の弁護士がご説明します。
1.遺産の使い込みとは
父や母が亡くなったとき「あったはずの遺産がなくなっている」ならば、特定の相続人や同居人による使い込みがあった可能性があります。
遺産の使い込みとは、預貯金などの相続財産を無権利な人(多くは同居の相続人)が勝手に自分や自分の家族のために使ってしまうことです。
たとえば以下のような例があります。
遺産の使い込みとは、預貯金などの相続財産を無権利な人(多くは同居の相続人)が勝手に自分や自分の家族のために使ってしまうことです。
たとえば以下のような例があります。
- ● 親と同居していた兄が親の預貯金を勝手に使っていた
- ● 親が認知症になったのを良いことに、同居の兄がお金を使い込んでいた
- ● 親が死亡した後、弟が親のお金をまとめて出金していた
- ● 親と同居していた兄が親の所有する不動産を勝手に売却してお金を自分のものにしていた
2.使い込みが相続発生前か後かで取扱いが変わる
使い込み問題は相続発生前か相続発生後に行われたのかによって考え方が異なるので、以下では分けてご説明します。
2-1.使い込みが相続発生後のケース
相続が発生したらその時点で残っている預貯金などの財産が遺産分割の対象になります。
それにもかかわらず相続発生後に特定の相続人が遺産を使ったら、他の相続人は使い込んだ相続人に対し自分の法定相続分に従った分の返還を請求できます。
親は既に亡くなっているので、使い込んだ相続人は「お金を親のために使った」などと言い訳できません。
それにもかかわらず相続発生後に特定の相続人が遺産を使ったら、他の相続人は使い込んだ相続人に対し自分の法定相続分に従った分の返還を請求できます。
親は既に亡くなっているので、使い込んだ相続人は「お金を親のために使った」などと言い訳できません。
2-2.相続発生前のケース
問題になるのは、相続発生前に使い込みがあったと疑われるケースです。
この場合、親自身が自分のためにお金を使った可能性もあります。
また親が同居の子どものために生活費を一部負担していた程度では「使い込み」になりません。
そこで使途不明な出金があっても、全額について返還請求の計算対象にはなるかはわかりません。
使い込みになるかどうかについては、その家族の経済状況や普段の生活ぶり、使い込んだ人と被相続人との関係などによって判断されます。
一般的な家庭の場合、1回にまとめて数十万円以上出金して使途不明になっていたら使い込みが疑われるでしょう。
また親が存命中の使いこみの場合、使い込んだ本人は「親の生活費のために使った。」「親に頼まれて下ろした。お金は全額親に渡した。」などと弁解することがあります。
この場合、親自身が自分のためにお金を使った可能性もあります。
また親が同居の子どものために生活費を一部負担していた程度では「使い込み」になりません。
そこで使途不明な出金があっても、全額について返還請求の計算対象にはなるかはわかりません。
使い込みになるかどうかについては、その家族の経済状況や普段の生活ぶり、使い込んだ人と被相続人との関係などによって判断されます。
一般的な家庭の場合、1回にまとめて数十万円以上出金して使途不明になっていたら使い込みが疑われるでしょう。
また親が存命中の使いこみの場合、使い込んだ本人は「親の生活費のために使った。」「親に頼まれて下ろした。お金は全額親に渡した。」などと弁解することがあります。
3.使い込まれたら誰にどのような請求ができるのか?
遺産の使い込みがあったら、使い込まれた相続人は使い込んだ相続人に対し損害賠償請求または不当利得返還請求が可能です。
遺産が使い込まれなかったら法定相続人は自分の法定相続分について遺産を受け取れたのに、使い込みのせいで受け取れなくなるので損害が発生しています。そこで不法行為にもとづく損害賠償請求が可能です。
また使い込みによって相手は不当に利益を得ており、一方で相続人は自分の遺産相続できる利益を失っているので不当利得にもなります。
不法行為でも不当利得でも、請求できる金額は「相手が使い込んだ金額のうち請求者の法定相続分」に相当する金額です。
たとえば相手が300万円使い込んでいてあなたの法定相続分が3分の1であれば、不当利得返還請求ないし不法行為にもとづく損害賠償として100万円の支払いを請求できます。
遺産が使い込まれなかったら法定相続人は自分の法定相続分について遺産を受け取れたのに、使い込みのせいで受け取れなくなるので損害が発生しています。そこで不法行為にもとづく損害賠償請求が可能です。
また使い込みによって相手は不当に利益を得ており、一方で相続人は自分の遺産相続できる利益を失っているので不当利得にもなります。
不法行為でも不当利得でも、請求できる金額は「相手が使い込んだ金額のうち請求者の法定相続分」に相当する金額です。
たとえば相手が300万円使い込んでいてあなたの法定相続分が3分の1であれば、不当利得返還請求ないし不法行為にもとづく損害賠償として100万円の支払いを請求できます。
4.相手に返還請求をするための証拠
使い込みの返還請求をするには使い込みの「証拠」が必要です。証拠がなかったら、相手は「使い込みなどしていない」と言って誤魔化す可能性が高くなりますし、裁判をしても勝訴できないからです。
使い込みの証拠としては、以下のようなものが重要です。
使い込みの証拠としては、以下のようなものが重要です。
4-1.預貯金口座の取引明細書
まずは使い込みが疑われる銀行や郵便局の口座の取引明細書を取得しましょう。使い込みが疑われる期間の明細を取得すれば、不正な出金を特定することが可能です。
取引明細書は相続人が金融機関に行って申請すれば出してもらえることが多いですが、出してもらえない場合には裁判所で仮処分を行います。
取引明細書は相続人が金融機関に行って申請すれば出してもらえることが多いですが、出してもらえない場合には裁判所で仮処分を行います。
4-2.介護記録
被相続人が介護を受けていた場合には介護記録が重要です。
判断能力が低下して本人が自分でお金の管理をできなくなっている時期に出金されていたら、それについてはおそらく使い込みと言えるからです。
介護施設や役所に提出した文書の写しなどを取得しましょう。
判断能力が低下して本人が自分でお金の管理をできなくなっている時期に出金されていたら、それについてはおそらく使い込みと言えるからです。
介護施設や役所に提出した文書の写しなどを取得しましょう。
4-3.カルテなどの病院の記録
被相続人が入通院していた場合には、カルテや検査結果などの病院関係の記録も集めましょう。
通常入院中にはお金を出金しないので、入院期間中に出金されていれば入院費用に充てられていない限り使い込みの可能性が高まります。
認知症が相当進んでいる状態でまとまったお金が出金されている場合でも、使い込みが疑われます。
通常入院中にはお金を出金しないので、入院期間中に出金されていれば入院費用に充てられていない限り使い込みの可能性が高まります。
認知症が相当進んでいる状態でまとまったお金が出金されている場合でも、使い込みが疑われます。
5.相手に返還請求するための手続き
遺産の使い込みがあったら、まずは上記のような証拠を集めて相手に対し、直接不正出金分の返還を求めます。
相手が返金に応じる場合には、話し合いによっていくらを返還するかを決めて返してもらいます。
相手が返金に応じない場合や金額について合意できない場合には、訴訟を起こして解決しなければなりません。
不法行為や不当利得にもとづいて相手に遺産の返還請求するときには、それぞれ消滅時効もあるので早めに対応すべきです。
「あったはずの遺産がなかった」場合、自分達だけで悩まずに山口の弁護士までご相談ください。
相手が返金に応じる場合には、話し合いによっていくらを返還するかを決めて返してもらいます。
相手が返金に応じない場合や金額について合意できない場合には、訴訟を起こして解決しなければなりません。
不法行為や不当利得にもとづいて相手に遺産の返還請求するときには、それぞれ消滅時効もあるので早めに対応すべきです。
「あったはずの遺産がなかった」場合、自分達だけで悩まずに山口の弁護士までご相談ください。
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