特別受益について
- ○ 特別受益は、どのようなケースで認められるのか?
- ○ 特別受益がある場合、どうやって遺産を分ければよいのか?持ち戻し計算の方法は?
遺産分割協議を進めるとき、特定の相続人が「特別受益」を受けていたらトラブルが発生しやすいので注意が必要です。
特別受益とは、贈与や遺贈によって特定の相続人が得た利益です。
特別受益が認められると、その相続人の相続分を減らすことによって遺産の配分を調整するのが基本となります。
以下では特別受益が認められる場合、計算方法、特別受益を免除する方法などについて、山口の弁護士が解説していきます。
1.特別受益とは
特別受益とは、子どもなどの特定の相続人が親などの被相続人から生前贈与や死因贈与、遺贈を受けることによって得た利益です。
親が生前に長男や長女に家や車を買い与えたり、結婚資金や開業資金などを援助したりするケースがよくあります。
しかし、相続人の中に特別受益を受けた人がいる場合、法定相続分通りに遺産を配分すると不公平になる可能性が高まります。
そこで特別受益を得た相続人の遺産取得割合を減らすことにより、遺産の配分が全体として公平になるように調整します。
このような特別受益を考慮した相続分の計算方法を「特別受益の持ち戻し計算」といいます。
たとえば、長男が親から不動産をもらっていた場合、不動産の価値の分を長男の法定相続分から差し引くことにより、他の子どもたちと平等に相続できるよう調整したりします。
親が生前に長男や長女に家や車を買い与えたり、結婚資金や開業資金などを援助したりするケースがよくあります。
しかし、相続人の中に特別受益を受けた人がいる場合、法定相続分通りに遺産を配分すると不公平になる可能性が高まります。
そこで特別受益を得た相続人の遺産取得割合を減らすことにより、遺産の配分が全体として公平になるように調整します。
このような特別受益を考慮した相続分の計算方法を「特別受益の持ち戻し計算」といいます。
たとえば、長男が親から不動産をもらっていた場合、不動産の価値の分を長男の法定相続分から差し引くことにより、他の子どもたちと平等に相続できるよう調整したりします。
2.特別受益が認められるケース
特別受益が認められるのは「法定相続人が」「贈与」や「遺贈」を受けたとき」です。
法定相続人以外の人が贈与や遺贈を受けても特別受益にはなりません。
また特別受益と評価されるのは、以下の3種類の財産移転行為です。
生前贈与の場合、2019年6月30日以前に被相続人が亡くなった事案では10年間の制限が適用されず、それより古い生前贈与も「特別受益」と評価される可能性があります。
もともと相続人への生前贈与にもとづく特別受益に期間制限はありませんでしたが、2019年7月1日に改正民法が施行され、特別受益の対象となる生前贈与の期間が短縮されています。
法定相続人以外の人が贈与や遺贈を受けても特別受益にはなりません。
また特別受益と評価されるのは、以下の3種類の財産移転行為です。
- ○ 相続開始前10年以内の生前贈与
- ○ 死因贈与
- ○ 遺贈
生前贈与の場合、2019年6月30日以前に被相続人が亡くなった事案では10年間の制限が適用されず、それより古い生前贈与も「特別受益」と評価される可能性があります。
もともと相続人への生前贈与にもとづく特別受益に期間制限はありませんでしたが、2019年7月1日に改正民法が施行され、特別受益の対象となる生前贈与の期間が短縮されています。
3.特別受益の評価時期
特別受益の持ち戻し計算をするためには、特別受益を「評価」しなければなりません。
現金や預貯金などは評価が容易ですが、不動産や株式などの場合、評価額が一定ではないので「いつの時点の評価額」を基準にすべきかが問題になります。
特別受益については「相続開始時の時価」を基準に評価すべきと考えられています。
一般の遺産は「遺産分割時の時価」を基準にするので、特別受益の対象とは異なる評価時期になります。
たとえば、相続開始時には1000万円だった不動産が、その後遺産分割時までに1500万円に上がったとします。このとき、特別受益としては1000万円と評価されます。
反対に相続開始時に1500万円から1000万円に下がった場合には、相続開始時の1500万円と評価されます。
現金や預貯金などは評価が容易ですが、不動産や株式などの場合、評価額が一定ではないので「いつの時点の評価額」を基準にすべきかが問題になります。
特別受益については「相続開始時の時価」を基準に評価すべきと考えられています。
一般の遺産は「遺産分割時の時価」を基準にするので、特別受益の対象とは異なる評価時期になります。
たとえば、相続開始時には1000万円だった不動産が、その後遺産分割時までに1500万円に上がったとします。このとき、特別受益としては1000万円と評価されます。
反対に相続開始時に1500万円から1000万円に下がった場合には、相続開始時の1500万円と評価されます。
4.特別受益の持ち戻し計算の方法
特別受益の持ち戻し計算をするときには、以下のような手順で進めましょう。
具体例にあてはめてみます。
父が死亡し3人の子どもがいて、長男が2000万円の評価額の不動産の生前贈与を受けていたとします。遺産総額は4000万円です。
- ① まずは、遺産総額に特別受益の金額を足します。
- ② それを法定相続分に応じて配分します。
- ③ 特別受益者の取り分からは特別受益の表額を減額します。
- ④ 最終的な遺産相続分が算出されます。
具体例にあてはめてみます。
父が死亡し3人の子どもがいて、長男が2000万円の評価額の不動産の生前贈与を受けていたとします。遺産総額は4000万円です。
- ① 遺産総額である4000万円に特別受益の2000万円を足します。合計で6000万円となります。
- ② 6000万円を法定相続割合である3分の1ずつに分けます。すると子どもたち一人あたり2000万円分の取得分が認められます。
- ③ 長男はすでに2000万円分の贈与を受けているので、2000万円を差し引いて、取得分は0になります。
- ④ 結果として次男と三男がそれぞれ2000万円ずつを受け取ることとなります。
5.特別受益を主張する方法
特定の相続人が特別受益を得ているので、持ち戻し計算によってその相続人に取得分を減額してもらいたい場合には、どのようにすればよいのでしょうか?
その場合、遺産分割協議の際、誰かが「○○(相続人)が××という特別受益を得ているので、相続分を減額すべきだ」と主張する必要があります。
誰も特別受益の話題を持ち出さなければ、特別受益は「ない前提」で遺産分割が行われます。
また、遺産分割協議を成立させるには、相続人全員による合意が必要です。
特別受益者自身が特別受益を認めなければ遺産分割協議は決裂しますし、特別受益の評価方法についても全員が合意する必要があります。
特別受益がもとで意見が合わず遺産分割協議が決裂した場合には、家庭裁判所で遺産分割調停を行い、調停委員の関与のもとで話し合いを継続します。
調停でも合意ができなかった場合には、遺産分割調停は「審判」となり、審判官が特別受益も考慮した上で遺産分割の方法を決定します。
その場合、遺産分割協議の際、誰かが「○○(相続人)が××という特別受益を得ているので、相続分を減額すべきだ」と主張する必要があります。
誰も特別受益の話題を持ち出さなければ、特別受益は「ない前提」で遺産分割が行われます。
また、遺産分割協議を成立させるには、相続人全員による合意が必要です。
特別受益者自身が特別受益を認めなければ遺産分割協議は決裂しますし、特別受益の評価方法についても全員が合意する必要があります。
特別受益がもとで意見が合わず遺産分割協議が決裂した場合には、家庭裁判所で遺産分割調停を行い、調停委員の関与のもとで話し合いを継続します。
調停でも合意ができなかった場合には、遺産分割調停は「審判」となり、審判官が特別受益も考慮した上で遺産分割の方法を決定します。
6.特別受益でトラブルになる前に
相続人の中に特別受益者がいると、他の相続人と意見が合わずトラブルになりやすいので、以下のような対処すると良いでしょう。
6-1.特別受益の持ち戻しを免除する
一つは被相続人自身が特別受益の持ち戻し計算を免除する方法です。
被相続人の意思で特別受益の持ち戻し計算が免除されていたら、相続開始後に特別受益の持ち戻し計算が行われることはありません。
持ち戻し計算免除の方法に法的なルールはありませんが、明確にするために遺言に書き残しておくとよいでしょう。
被相続人の意思で特別受益の持ち戻し計算が免除されていたら、相続開始後に特別受益の持ち戻し計算が行われることはありません。
持ち戻し計算免除の方法に法的なルールはありませんが、明確にするために遺言に書き残しておくとよいでしょう。
6-2.早期に正しい知識を持って遺産分割協議に臨む
遺言などによって持ち戻し計算の免除が行われていなかった場合には、各相続人が自分たちで解決するしかありません。
トラブルを避けるには、早い段階で相続人全員が特別受益についての正しい知識を持つことが大切です。
どのような場合にどれだけの特別受益が認められるのか、自分たちの場合には特別受益の持ち戻し計算を行うべきか、具体的にいくらになるのかなどの知識を全員が当初から共有しておけば、大きなトラブルになることなく遺産分割協議を成立させられます。
特別受益についての正しい知識を得るには法律の専門家である弁護士に確認するのがベストな方法といえるでしょう。
万一特別受益がもとで争いが発生した場合でも、弁護士が代理人となって交渉や調停、審判を進めることも可能です。
そんなときには山口の弁護士までご相談ください。
トラブルを避けるには、早い段階で相続人全員が特別受益についての正しい知識を持つことが大切です。
どのような場合にどれだけの特別受益が認められるのか、自分たちの場合には特別受益の持ち戻し計算を行うべきか、具体的にいくらになるのかなどの知識を全員が当初から共有しておけば、大きなトラブルになることなく遺産分割協議を成立させられます。
特別受益についての正しい知識を得るには法律の専門家である弁護士に確認するのがベストな方法といえるでしょう。
万一特別受益がもとで争いが発生した場合でも、弁護士が代理人となって交渉や調停、審判を進めることも可能です。
- ○ 本人は否定しているが、他の相続人に特別受益があるのではないかと疑問に思っている
- ○ 他の相続人から特別受益を主張されて困っている
そんなときには山口の弁護士までご相談ください。
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