遺言書が複数存在する場合
- ○ 遺言書がいくつもある場合、どれを優先すれば良いのか?
- ○ 兄の持っている遺言書は無効だと思う
- ○ 遺言書は日付の前後だけで効果が決まるのか?
- ○ 公正証書遺言と自筆証書遺言がある場合、どちらが優先?
人が亡くなったときに遺言書が残されていたら、通常は遺言書に従って遺産を相続します。
しかし遺言書が複数あったら、どの遺言書を優先すれば良いのでしょうか?
以下では内容の異なる遺言書が複数存在する場合の対処方法を山口の弁護士がご説明します。
1.遺言書の優先順位
相続で内容が異なる遺言書が複数存在するケースとは、たとえば1つには「長男にすべての遺産を相続させる」と書かれているけれど、他方には「兄弟3人に平等に3分の1ずつ遺産を分け与える」とされている場合などです。
この場合、兄は1つ目の遺言書を有効と主張するでしょうけれど次男や三男はもう1つの平等な内容の遺言書を有効と主張するでしょう。
法的には遺言書の優先順位を以下のような基準で定めます。
この場合、兄は1つ目の遺言書を有効と主張するでしょうけれど次男や三男はもう1つの平等な内容の遺言書を有効と主張するでしょう。
法的には遺言書の優先順位を以下のような基準で定めます。
1-1.日付の新しい方が優先
遺言書の優先順位は「作成日付」によって決まります。作成日付が新しい遺言書が優先されて、日付の古い遺言書は劣後します。
ただ新しい遺言書があっても古い遺言書が「全部」無効になるとは限りません。
新しい遺言書と「矛盾する部分のみ」が無効になります。新しい遺言書と矛盾していなければ、その部分は古い遺言書が有効なままです。
ただ新しい遺言書があっても古い遺言書が「全部」無効になるとは限りません。
新しい遺言書と「矛盾する部分のみ」が無効になります。新しい遺言書と矛盾していなければ、その部分は古い遺言書が有効なままです。
1-2.遺言書の種類は関係ない
遺言書には自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言などの種類があり、一般的には「公正証書遺言は自筆証書遺言より信用性が高い、無効になりにくい」と言われています。
そうであれば、公正証書遺言は自筆証書遺言に優先するのでしょうか?
法的にそういった扱いはありません。遺言書の種類は優先関係と無関係です。
自筆証書遺言と公正証書遺言がある場合でも、自筆証書遺言の日付が新しければ自筆証書遺言の内容が優先されます。
ただし自筆証書遺言は無効になりやすいので、無効な場合には日付の古い公正証書遺言が有効となります。
実際にわざわざ手間をかけて公正証書遺言を作成した人が、その後に無効になりやすい自筆証書遺言をあえて作成する理由が見当たらなければ、偽造などが疑われやすくなるでしょう。
そうであれば、公正証書遺言は自筆証書遺言に優先するのでしょうか?
法的にそういった扱いはありません。遺言書の種類は優先関係と無関係です。
自筆証書遺言と公正証書遺言がある場合でも、自筆証書遺言の日付が新しければ自筆証書遺言の内容が優先されます。
ただし自筆証書遺言は無効になりやすいので、無効な場合には日付の古い公正証書遺言が有効となります。
実際にわざわざ手間をかけて公正証書遺言を作成した人が、その後に無効になりやすい自筆証書遺言をあえて作成する理由が見当たらなければ、偽造などが疑われやすくなるでしょう。
2.遺言書が無効なケースとは
自筆証書遺言でも公正証書遺言でも、無効であれば効力はありません。以下で遺言書が無効になるのはどういったケースなのか、説明します。
2-1.要式違反
民法により遺言は厳格な「要式行為」とされており、少しでも要式から外れると無効になります。
特に要式違反になりやすいのは自筆証書遺言です。公正証書遺言の場合、公務員が職務として作成するので要式違反になるリスクはほとんどありません。
特に要式違反になりやすいのは自筆証書遺言です。公正証書遺言の場合、公務員が職務として作成するので要式違反になるリスクはほとんどありません。
2-2.偽造、変造
偽造とは権限のない人が勝手に遺言書を作成することであり、変造とは権限のない人が勝手に遺言書を書き換えることです。偽造や変造の遺言書は無効です。
公正証書遺言の場合には、偽造や変造のリスクもほとんどありません。
公正証書遺言の場合には、偽造や変造のリスクもほとんどありません。
2-3.本人に遺言能力がない
公正証書遺言のケースでもたまにありますが、遺言者に遺言能力がないのに周囲が無理矢理遺言書を作成させることがあります。
本人が認知症などで判断能力が低下しているのに、本人を公証役場に連れて行って遺言書を作成させたり自宅で遺言書を作成させたりします。 このような遺言書は無効です。
本人が認知症などで判断能力が低下しているのに、本人を公証役場に連れて行って遺言書を作成させたり自宅で遺言書を作成させたりします。 このような遺言書は無効です。
2-4.詐欺や強迫
遺言者を脅迫して無理に遺言書を作成させたり、だまして作成させたりした場合にも、遺言書が無効になる可能性があります。
2-5.検認と無効は関係ない
自筆証書遺言や秘密証書遺言を見つけたら家庭裁判所で検認を受けなければなりません。
一般的に、「検認を受けた遺言書は有効」と思われていることがありますが、検認と遺言書の有効性は無関係です。
検認を受けた遺言書と受けていない遺言書があるとき、検認を受けている方が優先されるわけではありません。
検認を受けていても無効になる可能性はありますし、検認を受けていない遺言書が有効なケースもあります。
一般的に、「検認を受けた遺言書は有効」と思われていることがありますが、検認と遺言書の有効性は無関係です。
検認を受けた遺言書と受けていない遺言書があるとき、検認を受けている方が優先されるわけではありません。
検認を受けていても無効になる可能性はありますし、検認を受けていない遺言書が有効なケースもあります。
3.遺言書が無効であることを確認する方法
自分の持っている遺言書が相手の遺言書より日付が古ければ、相手の遺言書が無効であると証明しないと相手の主張内容が優先してしまいます。
以下で遺言書の無効を確認する方法を説明します。
以下で遺言書の無効を確認する方法を説明します。
3-1.話し合いをする
まずは遺言書の有効性を主張している相手と話し合いをしましょう。
相手本人も遺言書が無効であることを認め相手の遺言書の内容を主張しないと同意すれば、裁判をせずに遺言書トラブルを解決できます。
相手本人も遺言書が無効であることを認め相手の遺言書の内容を主張しないと同意すれば、裁判をせずに遺言書トラブルを解決できます。
3-2.遺言無効確認調停をする
話し合いでは解決できない場合、家庭裁判所で「遺言無効確認調停」を行う必要があります。
調停では調停委員が間に入って遺言書を有効とするのか無効とするのか話し合い、両者が合意できれば調停で解決できます。
しかし調停はあくまで話し合いの手続きなので、相手は「有効」、当方は「無効」と主張し続けている限り、平行線で不成立となります。
調停では調停委員が間に入って遺言書を有効とするのか無効とするのか話し合い、両者が合意できれば調停で解決できます。
しかし調停はあくまで話し合いの手続きなので、相手は「有効」、当方は「無効」と主張し続けている限り、平行線で不成立となります。
3-3.遺言無効確認訴訟を起こす
調停が不成立になったら地方裁判所で「遺言無効確認訴訟」を起こす必要があります。
遺言無効確認訴訟で勝訴するには、遺言が無効であることを「証明」しなければなりません。
遺言書が要式違反であれば証明は比較的簡単ですが偽造変造、遺言能力がなかった、遺言書作成を強要されたなどと主張する場合、証明は難しくなります。
たとえば偽造変造を主張する合には被相続人の筆跡を示す資料と遺言書の筆跡を比較する必要があります。
遺言能力がなかったことを立証するためには被相続人のカルテや介護記録などの証拠が必要です。
遺言書が複数あると、相続人間で優劣や有効性を巡ってトラブルになることがあります。お困りの際には山口の弁護士までご相談ください。
遺言無効確認訴訟で勝訴するには、遺言が無効であることを「証明」しなければなりません。
遺言書が要式違反であれば証明は比較的簡単ですが偽造変造、遺言能力がなかった、遺言書作成を強要されたなどと主張する場合、証明は難しくなります。
たとえば偽造変造を主張する合には被相続人の筆跡を示す資料と遺言書の筆跡を比較する必要があります。
遺言能力がなかったことを立証するためには被相続人のカルテや介護記録などの証拠が必要です。
遺言書が複数あると、相続人間で優劣や有効性を巡ってトラブルになることがあります。お困りの際には山口の弁護士までご相談ください。
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